相場表
札幌中心部オフィスの市況及び相場 2020年3月
【空室率が統計開始以来最低値を更新】 2019年12月末時点の札幌ビジネスオフィス市況は空室面積24,635㎡(7,452坪)と前年同月の空室率2.53%から0.97%減少し空室率が1.56%となりました。 2019年の新規供給は、「創成イーストビル」延床面積3,528.56㎡(1,067.39坪)の内貸室供給面積 2,380.16㎡(720.00坪)、「南大通ビルN1」延床面積9,345.44㎡(2,827.00坪)の内貸室供給面積6,958.67㎡(2,105.00坪)、「松﨑北12条ビル」延床面積2,085.98㎡(631.01坪)の内貸室供給面積1,693.48㎡(512.28坪)の3棟が竣工。2003年の4棟以来16年ぶりに3棟の供給がありました。 札幌中心部のオフィスビル市況は、空室率の改善による既存テナントへの賃料値上げ交渉や新規募集賃料の上昇が引き続き見られます。大型ビルの建て替えによる移転、コールセンターなどの分室・増床を筆頭に、IT関連企業を中心にテナントの新規開設・分室・拡張ニーズは依然として衰えておりません。オフィス床供給不足の影響から2019年度の新築ビル3棟も高稼働率にて竣工しました。移転に伴う二次空室も募集前に館内増床や募集直後に後継テナントが決まってしまう事も少なくありませんでした。 2020年3月竣工予定の「大同生命札幌ビル」や2020年11月竣工予定の「(仮)サムティ大通西5ビル」は、多数の引き合いを集めており、こちらも高稼働率での竣工が見込まれます。 1フロア100坪以上の空きが確保できる空室募集は希少価値が高く、コールセンターを筆頭に大型テナントの潜在的需要や大型ビルの建て替えによる移転、テナントの新規開設・分室・拡張ニーズは依然として衰えておらず、空室率は希望に見合った物件の減少により鈍化するものの引き続き緩やかに減少傾向は継続されると思われます。 【札幌ビジネス地区のテナントの動向】 2019年は、2018年6月に竣工した大型ビル「さっぽろ創世スクエア」の空室も順調に消化され、新築ビル3棟、3月「創成イーストビル」・4月「南大通ビルN1」・11月「松﨑北12条ビル」も高稼働率で竣工となりました。 業務機能集約による自社ビル建設移転に伴う大型解約や館内縮小・撤退などの動きはあったものの、郊外から中心部への移転、自社ビルからオフィスビルへの移転、業務拡張に伴う増床移転、この3件の大型移転だけでも計約2,400坪もの空室が減少しました。 コールセンターやIT関連企業の需要は未だに旺盛な状況にあります。札幌ビジネス地区エリアではまとまった面積の募集床確保が困難になってきており、需給バランスはより一層ひっ迫した状況にあり募集賃料の値上げ傾向は続くと思われます。 【札幌中心部オフィスビルは新築・建て替えが活発化】 主要なビルでは、2020年「大同生命札幌ビル」延床面積約 24,000 ㎡(約7,260坪)、2020年「(仮)松原ビル」延床面積約 1,494.19 ㎡(約451.99坪)、2020年「(仮)サムティ大通西5ビル」延床面積約 4,412.43 ㎡(約1,334.76坪)、2020年以降も「(仮)京阪北10西3南オフィス計画」延床面積約13,703.31㎡規模(約4,145.25坪規模)、「(仮)ヒューリック札幌ノース33ビル建替計画」延床面積約11,000㎡規模(約3,327.5坪規模)、「(仮)北海道林業会館建替計画」延床面積約15,000~20,000㎡規模(約4,537.5~6,050坪規模)、「(仮)札幌第一生命ビル建替計画」、「(仮)北8西1地区再開発計画」、「(仮)ヒューリック札幌ビル建替計画」、「(仮)京阪北10西3北オフィス計画」、「(仮)南10西1ヤマハセンター跡地再開発計画」、「(仮)北4西3札幌西武跡地再開発計画」、「(仮)創世1・1・1区大通東1地区再開発計画」、「(仮)北5西1・西2地区再開発計画」、「(仮)南2西4街区再開発計画」の竣工を予定しております。 都心再開発の促進に向け2018年度に札幌都心の建物容積率の緩和や北海道新幹線の札幌駅開業・冬季オリンピック・パラリンピック招致を見据え建て替え計画や再開発の勢いは活発化しております。 余談ではありますが、2019年竣工したホテルは、わかっているだけでも9棟ありました。2020年もインバウンド需要を背景にオフィスビルに負けず活発化しております。 1%台の空室率の中で、受け皿となる新築・建て替え計画、再開発事業の動向には、今後も多くの注目が集まるものと思われます。 | |||
| |||
札幌中心部オフィス 貸室面積と空室面積の推移 | 2019年12月 | ||
2019年12月現在の空室面積は24,635㎡(7,452坪)、2018年度は39,818㎡(12,045坪)であり15,183㎡(4,593坪)の減少でした。 2019年度は、「創成イーストビル」延床面積3,528.56㎡(1,067.39坪)の内貸室供給面積 2,380.16㎡(720.00坪)、「南大通ビルN1」延床面積9,345.44㎡(2,827.00坪)の内貸室供給面積6,958.67㎡(2,105.00坪)、「松﨑北12条ビル」延床面積2,085.98㎡(631.01坪)の内貸室供給面積1,693.48㎡(512.28坪)の3棟が竣工。2003年の4棟以来16年ぶりに3棟の供給がありました。 空室が減少した理由として、2018年6月に竣工した大型ビル「さっぽろ創世スクエア」の空室も順調に消化され、オフィス床供給不足の影響から新築3棟も高稼働率で竣工、郊外から中心部への移転、自社ビルからオフィスビルへの移転、業務拡張に伴う増床移転、この3件の大型移転だけでも計約2,400坪もの空室が減少しました。 大型ビルの建て替えによる移転、コールセンターなどの分室・増床を筆頭に、IT関連企業を中心にテナントの新規開設・分室・拡張ニーズは依然として衰えておりません。 2020年度においても国内経済が緩やかな回復基調を維持している間は、空室率の減少に伴いオフィス床供給不足の影響はより一層ひっ迫した状況にあり賃料は今後も上昇傾向が続くと予想されますが、空室率は希望に見合った物件の減少により鈍化するものの引き続き緩やかに減少傾向が続くと予想されます。 | |||
単位=坪(3.3㎡)
| |||
札幌中心部オフィス 地区別空室率の推移 |
|||
2019年12月現在、全体平均で1.56%の空室率となりました。 札幌駅前通り地区は、2019年度空室率0.76%と2018年度0.75%からほぼ横ばいとなりましたが、引き続き1%を切っております。 昨年ですでに空室率1%を切り希望に見合った物件の減少によるものと思われます。 同地区は人材確保も容易であり、希望地区の筆頭の地位は今後も揺るがないであろうと思われます。 札幌駅前通り周辺地区は、2019年度空室率0.95%と2018年度1.98%から1.03%の減少となりました。 2018年6月に大型ビル「さっぽろ創世スクエア」が竣工を迎えましたが大型供給の為まだ一部成約にいたっていない空室も順調に消化された事が、最大の要因と思われます。 札幌駅北口周辺地区は2019年度空室率1.01%と2018年度1.91%から0.90%の減少となりました。 依然として人気の高いビジネス地区であり、オフィスビル需要も高く2018年度に札幌駅前通り周辺地区への拡張移転や自社ビルを一部オフィス用途として供給があった事で増加した空室率も順調に吸収された結果と思われます。 他地区(大通り周辺地区、大通り南周辺地区、バスセンター駅周辺地区、西11丁目周辺地区)は2009年度以降、各地区とも緩やかながらも着実に改善されています。2019年度の他地区の平均空室率を見ると2.51%、2018年度は3.42%であり、0.91%の減少と2012年度他地区平均空室率12.00%からみて5分の1に近い値まで減少しました。 バスセンター駅周辺地区は、2019年度空室率1.95%と2018年度0.83%から1.12%増加となりました。 昨年 札幌駅前通り地区に次ぐ優良地区に変化しましたが、札幌駅北口周辺地区への業務集約拡張移転、業務縮小による一部解約、店舗利用テナントの解約などがあり増加の要因として考えられます。 大通り周辺地区は、2019年度空室率1.24%と2018年度4.01%から2.77%減少となりました。 昨年、商業用途に加えオフィス用途に改装した「あおばアネックス」の供給があった事により増加となりましたが、IT企業を筆頭に大型テナントの潜在的需要により2019年度は順調に消化され、改善されました。 西11丁目駅周辺はビジネス地区の中で唯一2016年度まで、空室率が10%を超えている地区でしたが、希望に見合った物件の減少により札幌駅前周辺地区、大通り周辺地区、他地区から選択肢の幅を広げる移転の動きが見られた結果だと思われます。その流れに沿って2019年度空室率4.92%と2018年度5.78%から0.86%の減少となりました。 統計開始以来初めて5%を切り2016年度からからみて2分の1弱まで減少しました。 | |||
(%)
単位=%
| |||
札幌中心部オフィス 募集賃料の推移 | 2019年12月 | ||
2019年度の平均賃料は9,226円と2018年度の8,860円から366円の上昇で終了しました。 2019年度は、空室率の減少により引き続き供給側が優位に立ち、新規募集賃料の値上げや既存テナントへの値上げ交渉が行われ、今後も賃料上昇傾向が続くと予想されます。 新築ビルの募集賃料は高水準で、募集賃料を押し上げる一番の要因でありますが、空室率のより一層の低下から既存ビルでも供給側が優位に立ち空室募集賃料にも波及していると考えられます。 | |||
単位=円/坪(3.3㎡)当たり
| |||
札幌中心部オフィス 地区別賃料の推移 |
|||
札幌駅前通り地区の2019年度における募集賃料は13,905円で960円上昇となりました。 空室率の低下により供給側が優位に立ち既存ビルの新規募集賃料の上昇が一番の要因あると思われます。 今後も建て替え予定のビルが竣工する事を考えますと新築ビルの募集賃料は高水準で、募集賃料を押し上げる一番の要因である為に上昇傾向を保っていくものと思われます。 札幌駅前通り周辺地区の2019年度における募集賃料は10,885円で453円の上昇となりました。 2018年6月竣工の「さっぽろ創世スクエア」の影響が大きかったと思われ既存ビルの空室募集賃料にも波及していると考えられます。 札幌駅北口周辺地区の賃料は11,168円で488円の上昇となりました。 同地区はもともと新しいビルが多く2019年度も既存ビルの新規募集賃料の値上げが図られ、前述した賃料に落ち着きました。 今後も小幅ながら賃料は上昇していくものと思われます。 その他の地区(大通り周辺地区、大通り南周辺地区、バスセンター駅周辺地区、西11丁目駅周辺地区)は、札幌ビジネス地区全体の空室率の減少により上昇傾向は継続しており既存ビルの新規募集賃料の値上げが図られ上昇しました。 バスセンター駅周辺、西11丁目駅周辺については新築物件である「創世イーストビル」、「南大通ビルN1」竣工もあり、募集賃料は高水準である事から賃料上昇の一番の要因と思われます。 | |||
単位=円/坪(3.3㎡)当たり
| |||
| |||
札幌中心部オフィス 新規需要量 | 2019年12月 | ||
単位=㎡
| |||
新規需要量とは貸室面積(供給面積)に対し、今年新たに新規のテナント需要量があったかの増減の数値です。2019年度で言えば2018年度から貸室面積が9,845㎡(2,978坪)の増加。空室面積は15,183㎡(4,593坪)の減少。貸室面積が増加した部分を合わせて25,028㎡(7,571坪)が実際の新規需要量です。様々な要因により変化しますがマイナスの数値であれば縮小、移転、撤退、倒産による景気後退の影響が明確に表れると考えられ、プラスの数値であれば景気回復による進出、増床、拡大移転などの動きがあったことが考えられます。その点で言えば、2019年は、空室率減少の中で希望に見合った物件の減少状態にあるものの、新規需要量は引き続き増加となりました。 2019年度を見ると新規需要量が 25,028㎡(7,571坪)と5年連続増加ました。新築物件3棟の供給量が貸室供給面積11,032.31㎡(3,337.28坪)ですが、ほぼ満室稼働だった為、新規需要量の受け皿として昨年竣工の大型ビル含め既存ビルに流れ空室の解消が進んだことが考えられます。空室率の減少に伴いオフィス床供給不足の影響はより一層ひっ迫した状況にあります。 2020年度は、3月「大同生命札幌ビル」延床面積約 24,000 ㎡(約7,260坪)、8月「(仮)松原ビル」延床面積約 1,494.19 ㎡(約451.99坪)、11月「(仮)サムティ大通西5ビル」延床面積約 4,412.43 ㎡(約1,334.76坪)、の3棟が竣工を予定しており、まとまった大型の空室募集がほとんど無い状況と空室率減少の中で、多数の引き合いを集めており、受け皿となる新築ビルの動向には、多くの注目が集まるものと思われます。 ただ高稼働率での竣工となる可能性もあり、今後もオフィス床供給不足は継続する可能性が高いと思われます。 | |||
※ 2020年3月30日 「2020年度札幌中心部オフィス市況」の発表にあたり、 プレスリリースを発信いたしました。 →リリースページ | |||
| |||
※ 「2020年度札幌中心部オフィス市況」をダウンロードしていただけます。 右クリックして保存してください。 →PDFダウンロード(532Kb) |