不動産用語集
札幌に限らず不動産を取り扱う過程でよく利用される用語を解説します。
解約
カイヤク
当事者の一方の意志表示によって賃貸借の継続的契約関係を消滅させること。一般的に契約の解除の場合はその効力が過去にさかのぼるのに対して解約は将来に向って、消滅の効力が生じるとされていますが、民法上は両者が混同していて明確な規定はないようです。
事業用物件においては、入居者側都合による解約は過去予定日から逆算して3~6ヶ月以上前に文書による通知を義務づけている場合が多い様です。
また、契約によっては即時解約(様々の事情から近々のうちに退去せざるを得ない場合)は上記通知予告期間分の賃料等を支払う義務を課すこともあります。
解約通知は原則として撤回できないケースがほとんどなので、移転退去の場合はスケジュール等を慎重に検討することが必要でしょう。
解約違約(金)
カイヤクイヤク(キン)
当初の契約期間(2年、3年、5年等)内に入居者(賃借人)の都合によって契約を解約する場合に入居者が貸主(賃貸人)に支払う金額のこと。通常預託した敷金と同額で設定されることが多いようです。
また、預託した敷金に対し、経年ごとに比率を下げる(例 1年未満は全額、2年未満は50%、3年未満は25%)方法をとることもあります。
表現として敷金の償却という言葉を使うこともあります。
一般的に解約違約金は当初設定された期間についてのみ適用されその期間を過ぎれば該当しません。
また、解約違約を付さない契約もあります。
この場合は、解約予告期間と原状回復義務の履行により、預託した金額は金額返還されます。
共益費
キョウエキヒ
ビルを管理するために要する諸費用のこと。テナントビルの場合、共用部分に関する電気・ガス・水道料(廊下・エレベーター・トイレ・給湯室等)や清掃費・警備費等にあてられる費用です。
全館冷暖房(集中冷暖房)の場合は年間で積上計算し専有面積当りで割りかえし月ごとに請求される場合もあります。
ビルの構造や規模、管理形態(警備方法)等によって差が生じることもあり、含まれる項目も個別に設定される場合が多いため確認することが必要でしょう。
建ぺい率
ケンペイリツ
敷地面積に対する、建物の建築面積の割合のこと。都市計画区域内において用途地域により30%から80%まで定められています。なお用途地域のうち建ぺい率の上限が80%とされている地域で防災地域内に耐火建築物を建てる場合や、敷地が特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体およびその長のこと)が指定する角地にあたる場合には建ぺい率が緩和されます。原状回復
ゲンジョウカイフク
契約の終了により、賃貸借物件を契約前の状態に戻す義務のこと。入居者が負うべき義務です。
賃貸借物件内の什器・備品は撤去するのは当然ですが事業用物件の場合、間仕切り・パーテーション等でミーティングルームを造ったりするケースも多いので、これらも撤去することが必要です。
また、一般住宅とちがい内装(床・壁クロス・天井)も原状回復(入居した時と同様態にする)義務を課している場合が多いようです。
原状回復については、何を原状とするのか、から始まり様々なケースがあって細部においては契約時に確認することが必要でしょう。
敷金
シキキン
建物の賃借人(入居者)が賃貸借契約上の債務を担保するため賃貸人(貸主)に預託する金銭のこと。敷金は契約が終了し、建物を明け渡したあとで賃借人に債務(未払賃料等)があればこれを控除し返還される点に特徴があります。
このほか保証金等の名称が使用される場合もありこの場合その内容や性格は契約当事者の合意によることになるので内容を確認しておくことが大切です。
住居表示
ジュウキョヒョウジ
「住居表示に関する法律」によって決められる一住居ごとに○番○号と表示される住所のこと。土地の地番(○番地・○番地○等)による表示ではありません。
住居表示が実施されている地域で建物の新築や建て替える場合は届出が必要となります。
入口の場所や向きがかわると住居表示もかわる場合があるからです。
造作買収請求権
ゾウサクバイシュウセイキュウケン
借地借家法、旧借家法に定められている借家人が賃貸人の同意のもと建物に付加した造作を賃貸借終了時に賃貸人に買い取るよう請求できる権利のこと。事業用建物賃貸借契約においては、原状回復義務との兼ね合いもあって原則この造作買取請求を認めないのが一般的です。
オフィスビルの場合は発生する可能性がきわめて低いのですが、倉庫系・工場系・店舗系では場合によって発生するケースもある様です。
個別のケースにおいては退去時の原状回復も含め貸主側と事前に打合せることが必要でしょう。
添付書類
テンプショルイ
契約書に添付する書類。通常契約書は入居者の実印(代表印)を捺印します。
これは借主(入居者)がどういう人なのか、貸主側で確認するために添付します。
法人の場合は法人格の商業登記簿謄本と代表印の印鑑証明書、連帯保証人がついている場合は連帯保証人の印鑑証明書(場合によっては住民票も)各1通づつ3ヶ月以内の本書(コピーは不可)を用意する必要があります。
また会社案内や会社概要書があればこれも添付する場合もあります
地目
チモク
土地の現況と利用状況による区分のこと。不動産登記法施行令によって21種類に区分されています。
地目は特に倉庫・工場系の建物を賃貸借する場合、そこで行なう事業が行政等への許認可や届け出が必要な場合確認されることもあるので契約前にチェックすることが必要です。
また、売買の場合は田・畑などの地目によっては権利移転の制限がある場合もあり、確認することが大切です。
入居申込書
ニュウキョモウシコミショ
賃貸借物件に対し賃借する意志を表すため記入する書類のこと。借主の氏名・住所を記名捺印し貸主へ提出します。
事業用物件には、その面積と月額賃料、敷金(保証金)の総額、契約希望日、賃料発生希望日等が記入されますが、定まったフォームは特になく、貸主指定のもの仲介業者作成のもの等様々なようです。
記入された内容をもとに貸主側で検討のうえ、その申込内容に対する可否が判断されます。
その場合貸主側から条件変更の依頼(再条件提示)があることもあります。
また入居申込書には、法人の場合会社案内や会社概要書、個人の場合住民票や印鑑証明書を添付するのが一般的です。
事業用物件の場合は住宅とちがい申込金を支払うケースは少ないようですが、貸主によっては要求される場合もあるので確認することが必要です。
フリーレント
フリーレント
オフィスビルや倉庫等の建物賃貸借契約にもとづき一定の期間賃料を無料とする方法のこと。移転の場合は、賃料の二重払いをさけるために使われることもあるようですが、これは貸主側の判断による所が大きいため全てあてはまるものではありません。
フリーレントを設定する契約でも契約行為(契約書の捺印・添付書類の確認・敷金保証金の支払完了等)が完了していることが必要です。
ただし、フリーレントの期間であっても、オフィスビルの場合は共益費や入居者にかかる費用の実費は支払わなければなりません。
倉庫・工場や店舗に関しても電気料やガス・水道料等の実費は当然支払うことになります。
用途地域
ヨウトチイキ
都市の土地利用計画のひとつとして、それぞれの地域に立地する建築物の機能を発揮させるための地域地区制の中心ともいうべきもの。現在12種類の地域が定められ各地域内ではそれぞれの目的にともなう建築物の用途規制や形態規制が行なわれます。- 第1種低層住居専用地域
- 第2種低層住居専用地域
- 第1種中高層住居専用地域
- 第2種中高層住居専用地域
- 第1種住居地域
- 第2種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
事業用賃貸借物件においては特に倉庫・工場・店舗などは、そこで行なおうとする事業の内容によってはこの用途地域について厳密に規定されている場合があるので確認することが必要です。
連帯保証(人)
レンタイホショウ(ニン)
保証人となった人が主たる債務者と連帯して債務の負担をすること。連帯保証は普通の保証とちがって、催告の抗弁権(こっちに請求する前に主たる債務者に言って下さいということ)と検索の抗弁権(請求をうけた時主たる債務者に資力があって執行することが容易だということを証明したうえで、そちらへ行って下さいということ)がないので債権者から請求があれば連帯保証人は直ちに弁済の責任を負うことなります。
賃貸借契約の場合、例えば貸主から連帯保証人に家賃の請求があれば直ちに支払わなければなりません。
この様な点から、連帯保証は普通の保証よりも担保性が強いと言えます。
瑕疵担保責任
カシタンポセキニン
売買の対象物に隠れた瑕疵(外部から容易に発見できない欠陥のこと)があった場合、売主が買主に対して、その責任を負うことです。隠れた瑕疵があった場合、買主は売主に対して契約の解除や損害賠償の請求ができます。隠れた瑕疵の例としては、
■土地の場合
1.土の中にコンクリートの基礎や材木などが大量に混入していた。
2.土の中に有害物質が混入していた。
■建物の場合
1.雨漏り。
2.建物の躯体(基礎・床・壁・天井等)の腐食。
等があげられます。
買主が売主に対し損害賠償請求するためには、これらの瑕疵について買主は「善意無過失」であることが必要です。また売主に告知されていた場合(事前に説明を受けていたとき)は対象となりません。
瑕疵担保責任は、「瑕疵を知った時から1年間」という期限制限がありますが、これは売主は何年経っても買主から瑕疵理由に損害賠償を請求される心配があります。そこで判例では引渡し後10年で損害賠償請求は消滅時効にかかるとされています。
賃貸借についての瑕疵担保責任はどうかと考えると、契約上の債務履行との関係でどちらになるかの判断が難しいところです。ただ、賃貸借対象物件で以前に事故(自殺や障害事件等)があり、これを借主に告知していない場合等は、瑕疵にあたるとして損害賠償を認めたケースもあるようです。
館内細則
カンナイサイソク
オフィスビルの場合、ビルの使用細則を定めたものを言います。ビルでの禁止事項や共用部、貸室内の使い方を記載しています。この中には、正面入口の開閉館時間、付帯駐車場の利用可能時間、集中冷暖房の場合は開始終了時間と延長についての申請方法等、オフィスを利用していくうえで大切なことか記載されています。賃貸借契約締結時には館内細則の有無と、有りの場合は事前の内容確認が大事です。契約面積
ケイヤクメンセキ
賃貸借契約書に記載される面積のこと。オフィスビルは専有的に使用できる貸室内の壁芯計算による面積を契約面積としている場合と、エントランスやエレベーターホール、廊下やトイレなど共用面積を加えた場合があります。後者の場合は貸室内のレイアウト等を検討する際に、実際に使用できる面積を確認する必要があります。 倉庫・工場では、一棟貸しの場合が多いため、設計図面による面積が主となりますが、増改築がされている場合もあるため登記面積による場合もあります。倉庫・工場では壁芯の場合、内寸の場合等、契約面積の算出にはいくつかの方法があるため、現地確認することが大切です。工事区分
コウジクブン
賃貸借物件、特にオフィスビルでは工事の内容によって施行業者や工事費用の負担について区分がある場合があります。A工事(甲工事) | 工事費用をビルオーナー側が負担しビルオーナーの指定する工事業者が施行する工事のこと。 |
B工事(乙工事) | 工事費用を入居者側が負担し、ビルオーナーの指定する工事業者が施行する工事のこと。 例としては重量物搬入にともなう床加重増強工事や電気容量の増減による設備変更工事があります。 |
C工事(丙工事) | 工事費用を入居者側が負担し、入居者側の指定業者が施行する工事のこと。 |
新耐震基準
シンタイシンキジュン
1978年に発生した宮城県沖地震をきっかけに、建築基準法に定める設計基準が改正され、1981年(昭和56年)6月1日以降の建築確認において適用された基準です。これ以前の基準を旧耐震基準と呼びます。旧耐震基準では、「震度5程度の地震に耐えうる」とされていたのが、新耐震基準では「震度6強以上の地震で倒れない」となりました。
新耐震基準による建物は上記のとおり、1981年6月1日以降に建築確認(申請)を提出したもの、ということになりますからこれ以前に提出されたものは、場合によって旧耐震基準による設計基準という可能性があります。竣工年月が1981年6月以降となっていても、実際には新耐震基準に沿っていない場合もありうるということです。
また、1995年12月施行の耐震改修促進法により旧耐震基準の建物のうち特定建築物の耐震補強を課す(努力目標)など、建物の耐震化の推進がはかられています。
賃料起算日
チンリョウキサンビ
一般的には賃貸借物件引渡日が賃料起算日となりますが、用語別掲「フリーレント」にもあるように、引渡日=賃料起算日とならない場合もあります。賃料起算日は、1.契約締結日、2.内装等の工事着手日、3.銃器備品等の搬入日、4.営業開始日、5.その他、契約書に定めた日、などがあります。賃貸借契約締結時に確認することが必要です。
坪
ツボ
ビルや倉庫・工場など、事業用物件では、慣習上「坪」表示が用いられる場合があります。1坪=3.30578㎡
1㎡=0.3025坪
で計算します。たとえば・・・
30坪=99.17㎡
100㎡=30.25坪
となります。
定期借地権
テイキシャクチケン
1992年(平成4年)8月に施行された借地借家法に規定される借地権の一種。通常の借地権と違い、定められた契約期間が満了すると同時に借地関係を終了し、更新のない契約です。定期借地には一般定期・事業用定期・建物譲渡特約付の3つの借地権がありますが、ここでは事業用定期借地権について説明します。事業用定期借地権の存続期間は10年以上50年未満で、事業用建物の所有に限る契約です。居住用は不可です。
公正証書による設定契約が必須で以下の3つの特約を定めることが一般的です。
1.契約の更新をしない。
2.存続期間の延長をしない。
3.建物の買取請求をしない。
期間満了時には、借地人は建物を取り壊し土地を返還する(更地渡し)ことになります。
定期建物賃貸契約
テイキタテモノチンタイケイヤク
2000年(平成12年)3月に施行された制度で、契約で定めた期間が満了することにより、契約更新されることなく賃貸借が終了する契約です。契約期間についての制限はないので、1年未満も可能ですし、10年や15年という契約も可能です。但し、1年以上の契約期間を定めた場合は期間満了の1年から6ヶ月前までの間(「通知期間」と言います)に、貸主は借主に対し契約が終了する旨の通知をすることが必要です。もし貸主がこの通知を忘れてしまった場合は、あらためて6ヶ月以上の期間を定めて通知することで賃貸借契約は終了します。借主は期間が満了していても、この通知を受取った時から6ヶ月以内に退去しなければなりません。期間満了後も引き続き賃貸借契約を継続したい場合は、貸主・借主ともに合意することを前提に「期間満了日の翌日を始期とする」新たな賃貸借契約(定期建物賃貸借契約です)を締結することは可能です。