相場表

札幌中心部オフィスの市況及び相場  2008年3月


 2007年度は札幌三井ビルディング本館・新館の建て替えが予定され、内部のテナントが周辺のビルへ移転したことに対して、新規の供給が中型ビル3棟

(CRD札幌K4ビル:貸室面積・882坪)
(アストリアサッポロ:貸室面積・464坪)
(ファーストプラザビル:貸室面積:759坪)

のみとなったことから、市況全体としては貸室面積、空室面積ともに前年度に比べ減少しました。
 しかしながら、市況全体の空室面積や空室率では緩やかな改善傾向にありますが、既存ビルからの移転、企業の進出は依然として札幌駅周辺に集中し、そのなかでも条件面、設備面で充実したビルや築年数の新しいビル、または大型ビルなどに需要がさらに集中し、ビジネス地区においても二極化が目立つ結果となりました。
 このような状態から、大型の供給に対応できるビルに品薄感が出始め、春先から200坪以上、秋口からは100坪以上の対応が難しくなった年でもありました。今後もコールセンター増床や進出、企業の前向きな移転、進出を控えている札幌駅周辺としては高スペックな大型ビルの供給が待ち望まれています。そのようななか、2008年度に竣工を予定している大型ビルは2棟となり、札幌駅北口に1棟(7月竣工予定、延床面積3026.8坪)駅前通り周辺地区で1棟(11月竣工予定、述床面積5048.69坪)となります。2003年度以降、大型の新築ビルは100%近い入居率で稼動しておりますので、上記2棟も高稼働することを期待されています。

 賃料相場においては、2007年度は前年度とくらべほぼ横ばいの数字となりました。
これは、平均賃料を牽引できる物件がなかったことが第一で、第二に空室率の改善されてきたビルでは賃料の改定が進められてきたのに対し、苦戦を強いられてきている地区及びビルでは賃料部分の値下げ傾向が続いていることがあげられます。そのため大型のビルが竣工されてからも、ビルの二極化が鮮明である以上は賃料相場の回復はまだ先と思われます。
 このような状況の中、2008年度は前向きな移転、進出などは新築ビルを中心に動きはあると思われますが、全体的な空室率、平均賃料などは横ばいとなり小休止の状態と予想されます。


※調査対象データ
対象地区:駅前通り、駅前通り周辺、大通周辺、大通南周辺
バスセンター駅周辺、西11丁目駅周辺、札幌駅北口周辺
対象ビル:対象地区内の延床面積が100坪以上の主要オフィスビル。382棟。
構造は、4階建以上の建物とし、空調及びエレベーター設備の整ったビル。
札幌中心部市況地図


札幌中心部オフィス 貸室面積と空室面積の推移 2007年12月
 過去5年では2003年度にJRタワーオフィスプラザさっぽろや札幌エルプラザなど4棟(貸室総面積・14,954坪)が竣工されたのに対し、需要が追いつかずにバランスを崩した年でしたが、その後は順調に空室面積については改善されていきました。2006年度も日本生命札幌ビルⅠ期や8・3スクエアビルなど5棟が竣工され、貸室面積は26,799坪増加ましたが、空室面積とのバランスは崩さず、数字上では改善されております。2007年度は札幌三井ビルディング本館・新館の建て替え予定で札幌駅前通りでの貸室面積は11516坪減少し、ビジネス地区全体としての貸室面積は8,464坪減少となりましたが、空室面積は39,077坪と前年度の42,382坪と比べ3,305坪減少し順調な推移をしているものと思われます。
 これは、首都圏の好景気による進出やコールセンターの誘致や集約化、増床に北海道庁や札幌市が積極的に呼びかけた結果、2003年度以降竣工されている大型ビルが高稼働していることが要因のひとつです。また、大型ビルが高稼働しながら、100坪以上を求める需要に対しても既存のビルが対応できていたので、空室面積の改善に繋がったと思われます。
 実情としては空室が改善されているのはリニューアルされたビルや築年数の浅いビルでかつ好条件のビルに集中する傾向がありました。
 そのため、リニューアルが遅れてしまった、中規模のビルで大型の需要に対応できなかったなど、苦戦を強いられた物件も多くあり、市場としては二極化が非常に目立っていました。
2008年度は貸室面積に対しての需要の引き合いが多い新築ビルもあり、大型ビルは高稼働することが予測されます。それに対し、中規模のビルについては需要の引き合いが重複し、好条件なビルから空室率の改善がなされていくものと思われます。
札幌市中心部 貸室面積と空室面積の推移
札幌中心部7ブロックの市況及び相場
2007年12月地区別空室率
札幌中心部 オフィスの市況及び相場

地区別空室率の推移
 全体の空室率では2007年度は8.36%と前年度の8.9%と比較して、ほとんど横ばいの状態となりました。
 過去5年間の推移では2003年度に12.5%とピークを迎えてから改善されていき、2005年度から2007年度までの3年間は8%台と全体としては順調な数字とみてとれます。しかしながら、全体的な空室率は横ばいで推移してきていますが、2007年度の空室率は前2年と比べ地区によって差が出た結果となりました。もっとも改善された地区は札幌駅前通で2006年度の8.08%から5.10%となり、2.98%の減少。
 次いで札幌駅前通周辺地区が7.19%から5.70%と1.49%の減少となりました。
 他のビジネス地区では北口周辺で前年度と比較して0.84%の減少となった以外は、大通り周辺、西11丁目、バスセンター駅周辺で空室率が増加する結果となりました。需要自体が札幌駅周辺に集中している状況はしばらく変わらないものと思われますので、今後の空室率の改善は札幌駅が中心となりそうです。
札幌市中心部 貸室面積と空室面積の推移
全   体12.1212.5011.078.818.908.36
札幌駅前通り13.6310.217.756.828.085.10
駅前通り周辺10.109.469.146.487.195.70
大通り周辺11.1711.9812.9810.258.838.63
大通り南周辺13.5516.3714.929.2612.3113.68
バスセンター駅周辺11.4415.6711.019.718.9510.07
西11丁目駅周辺15.9317.8516.4215.2013.4014.93
札幌駅北口周辺12.5612.597.927.107.847.00

札幌中心部オフィス賃料 2007年12月
 過去5年で見ていくとオフィス地区全体平均賃料は2002年度の9429円から2005年度の8,986円まで4年に下落傾向が続いていましたが、2006年度からは落ち着きを取り戻し、その後は横ばいの状態が続いています。
 2002年度からの賃料の減少の要因は2003年度に竣工された大型のビルに対抗するべく、既存のビルが賃料の値下げを行ったことで平均賃料が下がり続けました。2006年度にようやく市場を牽引できる大型のビルが竣工されたために、下がり続けた全体的な平均賃料に歯止めを効かせることとなり、以降は落ち着いたものと思われます。
 地区別でも大きな増加も下落もなく、札幌駅前通りが11,997円と最も高く、ついで北口の10,164円、札幌駅前通周辺地区で10,038円となっており、前年度と変わらずバランスのとれた上体となっています。
 2008年度は2番手の北口と3番手の駅前通り周辺地区で1棟ずつ大型ビルの竣工があるので、平均賃料も特に順位の変更もなく推移していくものと思われます。
札幌市中心部 オフィス賃料

地区別賃料の推移
 長かった平均賃料の値下げ傾向は落ち着きを取り戻し、2008年度も横ばいでいくものと思われます。
札幌駅周辺では増額などの改定が徐々に行われてきていますので、札幌駅前、駅前通り周辺、北口の3地区では増加する可能性もありますが、他地区は需要の獲得で苦戦を強いられてきていますので、賃料の下落も考えられます。
 現状で空室率自体は地区別において二極化が鮮明になってきていることもあり、平均賃料にも大きく差がでてくる可能性を秘めた年ともいえそうです。
札幌市中心部 地区別賃料の推移
全   体 9,429 9,249 9,042 8,986 9,015 9,064
札幌駅前通り 11,701 11,124 11,036 10,932 11,448 11,997
駅前通り周辺 10,408 10,426 10,167 10,198 10,034 11,038
大通り周辺 9,837 9,614 9,311 9,181 9,331 9,432
大通り南周辺 9,201 8,891 8,593 8,722 8,624 8,631
バスセンター駅周辺 7,912 7,727 7,547 7,496 7,518 7,613
西11丁目駅周辺 8,252 7,935 7,782 7,570 7,528 7,409
札幌駅北口周辺 10,229 10,200 10,126 10,085 10,078 10,164