札幌中心部ビジネス地区における2005年12月末日現在のオフィス市況は、空室率が9%を切り、大幅な改善が見られ、小康状態にて落ち着きました。
貸室面積449,143坪に対し、空室面積39,567坪、空室率8.81%と前年の11.07%と比べても2.26%、空室面積が10,119坪減少しています。
札幌の厳しい経済情勢は、さほど変化はありませんが、2003年度から2004年度の供給面積(貸室面積)が445,508坪から449,012坪と3,504坪も増加しましたが、2005年度にはほぼ横ばいの131坪増と供給が止まった事、又既存コールセンターの札幌での集約化による増床など、昨年とほぼ同じ傾向が続いており、空室率の減少に大きく寄与した事が要因と思われます。
空室ビルは379棟中273棟と昨年に比べ20棟減少したものの、苦戦しているビルは昨年同様、入居率の改善が進まないビルも見られます。
入居希望のテナントは、広い選択肢から立地条件、ビル設備状況、賃料、ランニングコスト等の諸条件を十分考慮し、最良の物件に決める傾向は昨年同様変化はなく、テナント獲得への厳しい競争は、引き続き続いております。
過去の流れを見ますと、2003年度においては新築ビルのJRタワーオフィスプラザさっぽろ・札幌エルプラザ・STV北2条ビル・伊藤110ビル(貸室面積14,594坪)は堅調な入居率を示し、現在もほぼ100%の入居率と新築ビルの強みを発揮し、2004年度竣工のアーバンネット札幌ビル(貸室面積6,785坪)も2003年度同様にほぼ100%の入居率と新築ビルの強みを示しています。
IT化が浸透している現在では、OAフロアや豊富な電気容量に加え、多様な勤務形態に対応できるセキュリティーシステムや個別空調、オフィスの設備に対するニーズが希望に沿える事、更に中柱のない広いスペースの確保や余裕のある天井高・リフレッシュルーム(喫煙室)などの優れたオフィス環境・新耐震構造がIT企業の集約化、コールセンター等の拠点に沿う為、新築ビル及び築年数の浅いビルは入居希望が高く、入居率アップの要因を成しています。
2005年度は新築ビル1棟と既に入居テナントが内定していた事もあり、市場にはさほどの影響はありませんでしたが、2006年は注目の日本生命札幌ビル(貸室面積20,000坪)と8・3スクエア北ビル(貸室面積3,676坪)が秋口に竣工します。既に既存ビルの入居テナントに対して移転誘致を進めており、2棟(23,676坪)の供給がビジネス地区の貸室面積449,143坪に対し5%増と供給過多に逆戻りします。
空室率が9%を切り、落ち着いてきたビジネス市況のバランスが又崩れ、それに伴い賃料水準も緩やかに上がるのではと期待されていましたが、新築ビルに移転したテナントを抱える既存ビルは再度誘致をせざるを得ず、賃料の値下げ傾向に陥る可能性が有り、札幌中心部ビジネス地区全体に影響を及ぼすと思われます。
新築ビルは前記にて記した様に強みを発揮し、既存ビルは経費削減に伴う移転、好立地や整った設備を望む顧客のニーズは変わらない為、顧客ニーズに対応したビルから入居が進む可能性もあり、入居率の高まるビル・下がるビルと二極限化が2006年度秋口以降に進むと思われ、2005年度と同様に競争の激化は避けられないでしょう。
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※調査対象データ
対象地区:駅前通り、駅前通り周辺、大通周辺、大通南周辺
バスセンター駅周辺、西11丁目駅周辺、札幌駅北口周辺
対象ビル:対象地区内の延床面積が100坪以上の主要オフィスビル。379棟。
構造は、4階建以上の建物とし、空調及びエレベーター設備の整ったビル。 |
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札幌中心部オフィス 貸室面積と空室面積の推移 |
2005年12月 |
過去5年間の貸室面積と空室面積の推移を見ますと、貸室面積は2001年度で2,781坪の減少、2002年度にも938坪の減少と、2年連続で減りました。
しかし、2003年度には新規供給となる新築ビルの竣工が相次ぎ、計4棟(貸室面積合計14,954坪)と大型供給の年になりました。貸室面積が一挙に3,574坪増えて需要と供給のバランスが崩れ、ビルオーナーにとり苦難の年になっております。
2004年度には449,012坪の貸室面積で3,504坪の増加、2005年度には449,143坪の貸室面積で131坪の増加と、ようやく需要と供給のバランスが安定し落ち着いた状態で終了しております。
空室面積については、2001年度の43,174坪から2003年度には55,670坪と増加の一途を辿っておりましたが、ようやく2004年度には49,686坪と5,984坪の減少、2005年度には39,567坪と10,119坪も減少しております。
2001年度から2003年度には、事務所の集約化や統廃合・出光機関の撤退・リストラの動きが企業の大小問わず目立った時期であり、供給面積が5,636坪増えたのに対し、空室は12,496坪と約2倍も増えピークに達しました。
2004年度にはリストラの動きが一段落し、空室5,984坪の減少、2005年度には10,119坪の減少と緩やかながらも景気の回復及びコールセンターの進出・増床により改善の方向にて終了致しましたが、2006年度秋口には新築大型物件の竣工を控えており、予断を許さぬ情勢です。
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札幌中心部7ブロックの市況及び相場 |
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2005年12月地区別空室率 |
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地区別空室率の推移 |
過去5年間の空室率の推移を見ますと、2001年度には全体で9.82%、2003年度には12.50%とピークに達しましたが、2004年度から減少傾向に転じ、2005年度には8.81%で終了してようやく市場は落ち着きを取り戻しました。
地区別に見てみますと、札幌駅前通り周辺・札幌駅北口周辺・バスセンター駅周辺の地区では入居検討テナントに対する柔軟な価格対応・OAフロアの新設・フリーレント(賃料無料期間)の提案等、顧客ニーズに合わせた対応をいち早く取り入れ、又好立地主要ビルから入居が促進されました。
その結果、空室率の上昇に歯止めがかかり、好立地に位置している札幌駅前通り及び駅前通り周辺はピーク時の2003年度と比べて見ても、3ポイントも下がりました。
又、比較的築年数の新しいビルの多い札幌駅北口においては、ピーク時の12.59%から7.1%と5.49ポイント減少、苦戦していたバスセンター駅周辺・大通南地区周辺も価格対応の柔軟さにより大幅に改善されています。
大通周辺及び西11丁目駅周辺も減少傾向にあり、2006年度秋口までは各地区共に空室率は改善されていくと思われますが、2006年度秋口の新築ビル2棟の竣工により供給が5%増える為、どこの地区に影響を及ぼすのか予断を許しません。
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| 全 体 | 8.45 | 9.82 | 12.12 | 12.50 | 11.07 | 8.81 | |
| 札幌駅前通り | 6.79 | 8.76 | 13.63 | 10.21 | 7.75 | 6.82 | |
| 駅前通り周辺 | 6.61 | 8.59 | 10.10 | 9.46 | 9.14 | 6.48 | |
| 大通り周辺 | 9.04 | 9.31 | 11.17 | 11.98 | 12.98 | 10.25 | |
| 大通り南周辺 | 10.04 | 8.74 | 12.04 | 13.55 | 16.37 | 14.92 | |
| バスセンター駅周辺 | 11.18 | 11.50 | 11.44 | 15.67 | 11.01 | 9.71 | |
| 西11丁目駅周辺 | 10.00 | 13.42 | 15.93 | 17.85 | 16.42 | 15.20 | |
| 札幌駅北口周辺 | 9.43 | 7.71 | 12.56 | 12.59 | 7.92 | 7.10 | |
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札幌中心部オフィス賃料 |
2005年12月 |
2005年度のオフィス募集賃料を見ますと、地区全体で坪8,986円と前年より坪56円下がり、ようやく値下げ傾向に歯止めがかかりました。
これを地区別に比較しますと、依然札幌駅前通りが坪10,932円と最も高く、駅前通り周辺が10,198円と続き、次いで札幌駅北口が10,085円と辛うじて坪10,000円台を維持しています。一方バスセンター駅周辺や西11丁目駅周辺・大通南周辺では坪7,000円~8,000円台と募集賃料は比較的抑えられておりますが、ビジネス地区全体をグラフで見ますと地区別で段落的な募集賃料となり、バランスの取れた状態にあります。
デフレ市況のもとで賃料が最優先の物件選定条件となっている企業も多く、又ビルオーナー側においても空室率の改善を最大課題として対処した結果、募集賃料と実勢賃料の差額が遊離する傾向にありましたが、2005年度においては空室率が改善されつつある為、賃料は下げ止まりました。
ただ、2006年度秋口以降、新築ビルへの移転テナントの影響により、又賃料にも影響が出るものと懸念されます。
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地区別賃料の推移 |
過去5年間の推移を見ますと、2001年度には全体で坪9,675円だった募集賃料が5年間で坪609円下がり、2005年度には坪8,986円となっております。ビジネス地区全体のグラフを見ますと、毎年なだらかな下落傾向にあり、長引く厳しいオフィス市況の動向に連動して募集賃料の見直しをするビルが増えていたと思われます。
ただ、2003年度まで需要と供給のギャップが拡大していた市況が2004年度から改善され、2005年度にははっきりとした上昇傾向を見せ始めた為、前項の札幌中心部オフィス賃料でもご説明した通り、今後札幌駅前通り中心に賃料の上昇気運があり、他地区もそれに付随して影響を受けると思われますが、2006年秋口に竣工する日本生命札幌ビル及び8・3スクエア北ビルを抱えており、既存ビルオーナー側の対応如何によっては予断を許さぬ情勢ではあります。
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| 全 体 | 9,814 | 9,675 | 9,429 | 9,249 | 9,042 | 8,986 | |
| 札幌駅前通り | 12,459 | 12,090 | 11,701 | 11,124 | 11,036 | 10,932 | |
| 駅前通り周辺 | 10,934 | 10,972 | 10,408 | 10,426 | 10,167 | 10,198 | |
| 大通り周辺 | 10,390 | 9,978 | 9,837 | 9,614 | 9,311 | 9,181 | |
| 大通り南周辺 | 9,500 | 9,473 | 9,201 | 8,891 | 8,593 | 8,722 | |
| バスセンター駅周辺 | 8,418 | 8,130 | 7,912 | 7,727 | 7,547 | 7,496 | |
| 西11丁目駅周辺 | 8,141 | 8,271 | 8,252 | 7,935 | 7,782 | 7,570 | |
| 札幌駅北口周辺 | 10,660 | 10,404 | 10,229 | 10,200 | 10,126 | 10,085 | |
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