札幌市を中心に、北海道道央圏で事務所、倉庫、店舗など不動産仲介を行う株式会社札幌ヴェルディ（本社：札幌市中央区北2条西13丁目1番地1 K2ビル5階、中村恭章社長）は、定期的に札幌市経済の指標ともなるレポート「札幌市中心部オフィス市況」を発表していますが、2024年3月28日、2023年12月末時点の業界レポート「2024年度札幌市中心部オフィスビル市況」を自社HP https://sapporo-verdy.jpで公開します。レポートの対象地区は札幌駅前通りおよび周辺、JR札幌駅北口周辺、大通り周辺、大通り南周辺、地下鉄東西線バスセンター前駅周辺、地下鉄東西線西11丁目駅周辺、の延床面積が330平方メートル（100坪）以上かつ4階建以上の主要オフィスビル377棟です。

　市況全体としては2023年12月末時点の空室率は2.88％、新規供給は、D-LIFEPLACE札幌(5月)、CRES CUBE(7月)、The Link Sapporo(8月)、桂和大通ビル５１(11月)、T-PLUS札幌(12月)の5棟で貸室供給面積37,015.78㎡（11,197.29坪）の供給がありましたが、高騰する賃料に嫌気して異例の空室が目立つ新築ビルもあり、地区の平均賃料と空室率を押し上げました。新旧問わず全般的には高稼働で推移しており、需要量に対して供給量が追いつかない状態は継続しています。※(竣工月)

　道内経済動向としては、コロナウィルスの分類が5類に見直され、人流の回復が見られたものの、一般消費は物価高により大きな伸びは抑制され、建築資材の高騰と労働力不足により景気の牽引を果たす住宅需要は伸び悩み、中国の禁輸措置により水産品などの輸出も減少しており、総じて順調な回復基調とは言えない年となりました。 一方で、新幹線開通の遅れ、オリンピック招致の断念など、明るい話題に欠くなか、半導体生産拠点となるラピダス社の誘致や脱化石燃料投資におけるアジア・世界の金融センターを目指す産官学金共同事業体「Team Sapporo-Hokkaido」の設立など、道内経済の大きな飛躍を目指す取り組みが期待されます。

　札幌中心部のオフィス空室率は、増加要因としてはコールセンター進出が鈍化したとともに、拡張を予定しての予備空間確保も減少したことが挙げられます。主な原因はスタッフが集まらず、人手不足により運用の拡大が思うように見込めなくなった点が大きいものと考えられます。減少要因としては依然としてIT/BPO関連企業が「大札新」の誘致施策もあり増床が続いている点と自社ビルを売却して立地の良い中心部に移転した例なども挙げられます。

　依然として経済活性化、観光需要増を見込む市内再開発ラッシュは継続しており、建築費の高騰が賃料上昇に反映されてきています。建築費のあまりの急激な高騰により、新築予定の設計施行の変更が見られ、根本的な計画の見直しも始まっています。

　これらの状況と新築物件の高価格帯の影響から募集賃料の全体平均は3.7%(昨年は3.2%)の上昇となり、上昇率も高くなっており、今後も賃料の上昇傾向は続くものと思われます。賃料上昇傾向の継続見込みから、募集賃料を下げる動きは少なく、地域によっては空室率上昇の現況から、新築ビルではフリーレント（賃料部分の無料期間）対応の動きも見られるようになってきました。2025年度の新築増床により、空室率が上昇すれば、募集における工夫がさらに求められてくるものと思われます。

【今回の統計における留意点】 　統計における募集賃料を2020年に遡って共益費込みの賃料に改訂しています。統計開始以来、共益費を除く賃料の推移を見てきましたが、昨今の実勢価格はほとんどが共益費込みの賃料として提示されることが多くなってきたための変更です。賃料以外の統計値に影響はありません。ただし、共益費込みの条件の中には空調費等が含まれることもあります。

以上

―　記　―

「2024年度札幌市中心部オフィスビル市況」目次

1・札幌中心部オフィスビルの市況及び相場
　● 札幌中心部のオフィスビル市況は供給回復するも賃料が高止まり
　● 札幌ビジネス地区のテナントの動向
　● 札幌中心部オフィスビルや複合商業施設の新築・建替えは計画見直しも
2・札幌中心部オフィスビル貸室面積と空室面積
3・地区別空室率の推移
4・募集賃料の推移
5・地区別募集賃料の推移
6・新規需要量


レポートの対象地区


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https://sapporo-verdy.jp/downloadfiles/data2024.pdf(700Kb 13P)

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担当：株式会社札幌ヴェルディ　市場調査部アナリスト　笹森 博章
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